~日本が大陸と別れた後、また陸続きになった時代~

今回は、少し地球の出来事、気候の変化がいかに私たちに影響をおよぼしたのかについてお話したいと思います。

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現在の地球は氷河期です。

あの地球が極寒になる氷河期です。

「いやいや、地球温暖化とか言ってるやん!」

と思った方、そうですね、今は氷河期の中でも比較的気温が温かい「間氷期(かんひょうき)」なのです。

地球の歴史の中では今もずっと寒い時期なんですよ、意外ですよね。

そして、氷河期の中でも特に寒冷な時期(氷期)になると日本海にある現象が起こります。

その現象とは・・・

なんと!大陸と日本は陸続きになってしまうのです!スゴイ!

氷河期だから氷でつながるのかな?と思った方、本当に文字通り陸続きになるのです。

あ、海峡部分は水深が深く完全ではなかったので、ほぼ陸続きです。

海水の水位が下がり、今現在、海底の部分が陸地になってしまうのです。

現在の水位から120~130mは下がったというのが有力な説で、

北海道辺りは完全につながっていて、

津軽、対馬の辺りはかなり浅くなっていたか氷でつながっていた、干潮、堆積物で陸橋が出来ていたという状態のようです。

画像でいう薄い水色部分が水深が浅い部分で、そのうちの一部が陸地になっていたようです。

もちろん15,000年前ですから、地形も今と違っていますが、

大陸棚も陸地になっていた部分があったなんて、ロマンですよね。

地球規模のダイナミックな変化。

どうしてそういうことが起こるのか。

そのメカニズムが気になる方向けにざっくりですが説明します。

気にならない方は読み飛ばしてください。

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陸地と海ではどちらが温度の変化が激しいでしょうか?

例えば、あなたは暑い日に海水浴にいったとします。

砂浜を素足で歩くとやけどするほど熱いですよね。

でも海に入ると熱湯なんてことはありません。

夜だとどうでしょう。

砂浜はすっかり冷えていますね。

それは、太陽の熱を陸地が吸収するからで、

つまり陸地の方が温度の変化を受けやすいということです。

そして、森林は太陽光を85%程度吸収し、

雪や氷は20%程度の太陽光を吸収します。

つまり雪や氷はほとんど反射するのです。

気温が寒くなり、雪が降り、太陽の光を反射して、

さらに気温は低くなり、氷ができ、太陽光を反射して・・・

という寒くなるループが続きます。

そして、地球全体が凍ってしまう全球凍結という状態にもなっていた時代があったようです。

氷河期が起こるかどうかは地球の歳差さいさ運動(乱暴に言うと自転軸の移動)、公転軌道などが影響しているという説が有力ですが、

まだ解明されたわけではありません。

とくに寒い氷期では溶けることない氷に覆われた南極のような地域が多く広がっていました。

南極の氷は厚さがすさまじく、但馬では雪が1mも降れば「うわ~降ったなあ」と思いますが、

単位がそもそも違ってkm単位です。

しかも雪が固まって氷になっています。

南極では2,0000mや4,000mの氷が陸地の上に乗っかっているのです。

富士山は標高3776.12mですから、

富士山並みの高さの氷があるわけですね。

そのような地域が今より広かったと想像してください。

ヨーロッパ全土がそういった厚さの氷に覆われていたことがわかっていて、

その重さで大陸が沈み、高度が全体的に低い土地になって現在に至ります。

氷期の北海道の辺りには厚さ150mの永久凍土があり、

現在のグリーンランドのようなツンドラ気候で人が住むには適していない土地でした。

本州に当たる土地には針葉樹が広がっていて、高山には氷河が存在していました。

つまり、海の水が陸地に氷の状態で存在していた時期で、

海の水は今より少なく水位は100m以上低い位置にあったのです。

ざっくりメカニズムを説明しました。

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そうして大陸とつながっていた日本。

その期間は19,500~15,500年前の4,000年間あたり。

日本海は海の水が入る量が減り、

大陸からは川の水が流れつくため日本海だった場所はやがて塩分濃度が下がり淡水となります。

日本海が淡水化していた証拠に淡水の貝類化石などが日本海沿岸部のあちらこちらから発見されています。

(但馬では香住で発見されています)

日本海に住んでいた生き物は淡水では生き残れず、

日本海の深部は無酸素の状態となりました。

90%ほどが死んでしまい、

その死骸は日本海の豊かな土壌となり、

現在の豊かな生態系の土台となりました。

それは海底資源となるのですが、それはまた別のお話です。

日本の歴史では15,000年前から2,500年前あたりが縄文時代とされています。

それ以前が旧石器時代ですね。

15,000年くらいになると気候がガラリと変わり、

氷が溶け水位は現在のように100m以上も上昇します。

そうして、旧石器時代の沿岸部の人々の暮らしの痕跡は海の底に沈んでしまうのです。

(個人的には聖書や世界のあちこちに残されている洪水の伝説はこの時の急激な気温の変化かその後の気温の揺り戻しのことではないかと思っています。年代が合わないようなんですけどね。)

人びとは移住せざるを得なかったはずです。

それまで食べていた生き物や植物まで大きく変わってしまったのですから。

このように、人の移動にはいろいろな要素が含まれています。

もし、この水位の変化を知っていれば、15,000年前の遺物が少なくても

「海に沈んでいるのかも」と納得できますが、知らなければ謎のままでしょう。

高い位置に移動したでしょうから、山が信仰の対象になっても不思議には思いませんよね。

古代を本当に理解するにはさまざまな知識が必要で、

それは立方体のようなもので、ある面だけ見ていても全体像は見えないのです。

日本の古代史も人の移動というものが大きなキーであり、謎の部分だったりします。

もしかすると、すでにわかっていることと組み合わせれば謎でなくなるのかもしれませんね。